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小説 君の名は の感想

 ブックオフで100円だったので買ってみた。いやー読みやすくて良かった。最近は理屈をこじらせた変な小説ばっかり読んでるので、リフレッシュできた。

 自分は「君の名は」が公開する前から新海ファンで(古参アピ)君の名は、にももちろん期待していたけど、まさかあんな大きなブームになるなんて思ってなかった。新海作品なのに珍しく広告打ってるなーとは思ったけど。

 で、中身だけど、やっぱり「君の名は」は映画が一番かなーと思う。「君の名は」はファンタジー青春映画なわけだけど、自分はファンタジーをみると色々作者の(恣意的な)仕掛けが気になってしまう質だから、そこらへんを勢いで流してくれる映画の方が余計なことは考えずに楽しめた。流れということでいうと、小説は地の文が気になった。本書は一人称小説なんだけど、走って息も絶え絶えの状況で「息が切れ、ひざが笑っている」なんて冷静に解説されると違和感を感じる。やっぱり人ってそんなに言葉で生きてないよね。「苦しい」とか「愛しい」とか、しいて言葉にするとしたらそのぐらいの単純な感情しかないと思う。

 考えてみると今まで普通に読んでいた一人称小説はどれもこれも感情をわざわざ言葉にせず地の文は情景描写に徹していた気がしなくもない。パラパラと確認してみると「ヨハネスブルグのの天使たち」は感情を直接ではなく行動や発言を用いて間接的に描いてることが多いように感じる。

 さんざん言ったけど、中身は普通に面白かったし、映画では断片的にしか描かれていなかったところも掘り下げられていて、ファンブック的な楽しさがあった。