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ニューロマンサー/ ウィリアム・ギブスン 感想

 読みました。二回読みました。だって全然説明しないんですもん。旅の目的とか異常事態がおこったとか物語の流れを左右することがさらっと書かれてるので今なにやってるのかわかんなかったり、はるか昔のページのことを当たり前のように掘り返したり、急に違う名前で呼んだり、主語、述語、目的語が平安古文なみに省略されてたりするので初見で完全に理解するのはwiki熟読しないと無理でしょう。実際私もwikiの用語集とかみながら読んでましたがさっぱりわかりませんでした。「構造物」とか作中説明ありました?

 そういうことを踏まえると、面白いかどうかで言うとまあ普通。ひいこら言いながら頑張って読む手間に足るかといわれると、そんなことはないという感想になります。いやこの作品が当時のSF界の新地平をきりひらいたんだ!とかはわかりますよ。でもそれはネットの発達していない当時としては電脳空間とかの新鮮味があったから面白いんであって今とは状況が違うと思うんですよ。むしろ私としては――浅い読書歴をひけらかすようで申し訳ありませんが――公正的戦闘規範とかself reference engineとか虐殺器官とかとか現代のSFのほうがずっと身近で、何より日本人が日本人のために書いているので面白く感じます。どうしても翻訳の文体に慣れないんですよね。まだ二冊しか2000年以前のSF読んでないのになにSF語っとんじゃぼけという意見はもっともで反論のしようもありませんが。

 千葉シティの退廃的な感じ、薬漬けで堕落した生活、ルビ振りまくりの文章とかかっこいいし好きですよ。しかしどうしても読みづらい。合う人は合うんでしょうが私は合いませんでした。苦労せず楽しみたいという私みたいな人間にはかなりハードルが高かったです。