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自転車・PC・読書感想。サイクリング部の大学生やってます。

2017年と言わず読んでよかった本

 年末だ年末だと猫も杓子も騒いでますが年明けなんて誰かが決めた偶像に過ぎないんですよ。つまり俺に彼女がいないからといって非リアではない。リア充云々は偶像だ!

1.虐殺器官
 はいこれ。もうこれ読んで?一言で言っちゃえば軍事SFなんですけど、SF食わず嫌いしてる人は多いのでは?私も前まで「SFって宇宙旅行とかするやつでしょ(笑)いい年した大人が何現実逃避してんの?」とか思ってましたけど本当は違うんですよ。SFっていうのは今より進んだ科学技術を導入することで人間とはなにか、とか計算機が進化するとどうなっていくのかとかとか深遠なテーマを掘り下げていく営みなんですよ。
 虐殺器官のメインテーマは「言葉」です。これ以上ないほど語りつくされたテーマで、「あーはいはい現代文の評論みたいなやつね」とか高を括ってると衝撃を受けます。虐殺器官のすごいところは「言葉」という身近で、何回も取り上げられてきたテーマを扱っていながらもエンターテイメントとして高いレベルで完成させているところだと僕は思います。
 著者の伊藤計劃は相当な映画狂というか創作といえるものなら大体好きで(多分)いろんな作品を吸収しつづけた人なので知識量が半端じゃありません。虐殺器官にもそれは色濃く反映されていて、いたるところに実際にあった出来事が挟み込まれているのですが、その密度が僕にとってはあり得ないほど高いのです。しかし映画をむさぼるように見る一方、ずっと癌に苦しめられており、虐殺器官を書き上げたのは病床で、しかも10日程で書き上げたといいます。自分が癌にかかっているのに「虐殺器官」なんてひどい自虐ですね。
 結局伊藤計劃虐殺器官と他二本の長編を残して夭逝しました。しかし小説界に与えた影響はすさまじく、ゼロ年代SFベスト、ベストSF2007国内篇第1位、そしてなぜかPLAYBOYミステリー大賞(国内部門)第1位 まで獲得します。他にも色々とってます。SF初心者でも全く問題ないので(自分がそうだった)とにかく読んでください。


2.ハーモニー
 うん、ごめん。また伊藤計劃なんだ。今度は「死と意識」がテーマで、落ちが衝撃的すぎて少し薄ら寒くなるんだ。この結末を自分一人で考え付いたということはないでしょうが、有史以来様々な思想家が考えてきたことを正面から粉々にしていく感じがします。ちなみに僕はこの本からSFにはまりました。


3.self reference engine
 うん、そう。わかる人にはわかったと思う。ミーハーでごめん。でも予想がついた人にはこれも名作だってことには同意してくれると思います。詳しくは前に書いた記事を読んでください。arark.hatenadiary.jp
self reference engine(SRE)はとりあえずSFであることは確かなんだけど単なるSFにとどまらない気がします。この本に限ってはストーリーの解説は無意味で、裏表紙のあらすじ読んで(恐らく意味は分からないだろうけど)面白そうだなと思ったら買ってください。
 著者は円城塔で、SREが処女作でほかにも色々発表してますが、これが一番読みやすいんじゃないかと思います。本を重ねるごとに円城塔の一般人離れが進んでいる気がしてならない。


4.恋文の技術
 上がSFだったので今度は一般小説から。著者は森見登美彦で、他には「四畳半神話体系」とか「夜は短し歩けよ乙女」とかがあります。もちろん左の二冊もいいんだけど、恋文の技術も面白いです。とにかくなんも考えずにげらげら笑えます。理屈をこじらせた大学生の長ったらしく、それでいて笑える文章がこれでもかというぐらい楽しめます。書簡体でこれだけ面白く物事を描写できるっていうのが自分には信じられなかったです。これもまた落ちが秀逸。


5.オーデュボンの祈り
 言わずと知れた伊坂幸太郎作品。伊坂作品は結構読みましたけどこれが一番面白かったですかね。処女作ではありますが、伊坂幸太郎の特徴である洒落がきいた文体がちゃんと楽しめます。正直読んだの昔過ぎてうろ覚えなところが多いのですが、最後に伏線を綺麗に回収していって見事に終わらせていた記憶があります。ちょっと画家のおじさんのところに違和感を感じないでもなかったですが。まだ小説自体を読んで間もなかった僕は、あぁ小説ってこうやって終わらせるんだ、と感動してました。


こんなもんですかね。もっとマイナーな、知る人ぞ知る作家とか出せたらかっこいいんですけど読書不足なため叶わず・・・。虐殺器官の分量がほかと比べて圧倒的に多いですが、正直言って僕に「読書」というものを明確に意識させてくれたのが虐殺器官なのでどうしても熱が入ってしまうんですよね。この記事は今年の総決算と見せかけて、虐殺器官のために書いたといっても過言ではない、というかぴったりなのでもうそれさえ読んでくれればいい。