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利己的な遺伝子 要点メモと感想

 

 

概要

 

 生物学界の名著と名高いこの本。前々から気になっていましたが、ついに読むことができました。読んでない人にはどんなことが書いてあるのかがわかるように、読んだことのある人には内容を思い出してもらうために、要点とどこを読めば詳細が書いてあるのかをまとめました。あんまり詳しく書きすぎるとなにか法律に引っかかってしまいそうなのでかなりぼかしてます。要点を全部説明できればあなたは利己的な遺伝子マスターです。

 ちなみに読んだのは増補新装版の第4刷です。

要点

1章


p4,5-この本がなにを主張する本ではないか。
p10-生物の行動原理。
p15-群淘汰論の欠点。

2章

p21-生命のはじまりについての仮説。
p24-進化を起こす仕組み。
p28-最初の細胞の誕生についての仮説。

3章


p33-後天的に獲得した形質は遺伝しない。
p40-遺伝子とは。
p49-自然淘汰の単位。
p52-遺伝子にとって善と悪。
p58-老衰はなぜ存在するのか。
p61-なぜ性が存在するのか。
p63-無駄なDNAが存在する理由。

4章


p67-生物個体の目的。
p71-感覚器が発達した経緯。
p75,p86-遺伝子は実際の行動に直接影響を与えはしない。
p94-コミュニケーションのシステムが進化するときの、ある個体にとっての危険性。

5章

p101-生物には進化的に安定な戦略(ESS)がある。

p114-個体間の全く関係なさそうな非対称性がESSを生み出しうる理由。
p119-順位制が発達する仕組み。
p122-共食いがない理由。
p126-進化とは絶え間ない上昇ではなくて、むしろ安定した水準から安定した水準への不連続な前進の繰り返しであるらしい。

6章

p131-親が子に利他的行動をしめす理由。
p136-姉妹と親子での遺伝的な同一性。
p139-正しい適応のできた遺伝子が残る。
p155-両親の、子に対する利他主義が、兄弟間のそれよりずっと普通に見られる理由。

7章

p170-なぜ卵を産む数に制限があるのか。
p174-縄張り争いに敗れた雄が、その後戦おうとすらせず飢え死にすることもある理由。

8章

p192-子供が餌を一人占めしない理由。

p199-大声をあげて捕食者をおびき寄せる恐喝遺伝子か広まる可能性。
p210-世代間の争いで親と子のどちらが勝つのか。

9章

p214-性の決め方。
p216-雌雄が生まれた理由。

p218-雌雄が1:1である理由。

p232-雌雄の性格の比率はいくつかの平衡点を延々と循環する。
p240-生存に不利になると思われる特徴が発達した理由。 

10章

p257-鳥の警戒音の意義。
p266-つまり社会性昆虫(蟻など)が協力しあう理由。
p280-人間はウイルスのコロニー説。
p281-互恵的利他主義は進化しうる。

11章

p292-文化的伝達は遺伝的伝達の違い。
p296-ミームの登場。
p298-神様というミームはなぜ広まったのか。
p299-ミームを遺伝子的に説明する必要はない理由。
p311-唯一我々だけが利己的な自己複製子たちの専制支配に反逆できるのである。

12章

気のいい奴、つまり互恵的な関係が発達することもある

13章

p386-全ての我々の自身の遺伝子はお互いに寄生しあっているのかもしれない説。
p400-群れではなく個体が遺伝子のヴィークルになる理由。
p411-遺伝子がわざわざ個体を作る理由。

感想

 利己的な遺伝子は読めば名著だということがはっきりとわかります。この本は著者も言っている通り当時の研究をまとめ、一般向けに編集した本です。発行が1976年と古いこともあって敬遠してしまう人もいるかと思いますが、今読んでも新鮮さが失われることはありません。

 この本の主張はとても簡単です。「遺伝子は利己的である」。初めから終わりまでこれです。それだけのことでなぜこんなにも分厚い本ができるかというと、このルールが幅広く適用できるからです。生物の誕生から地球外生命体まで適用できます。ほかにも生物はなぜ死ぬのか、なせ争いがなくならないのかなどなどとにかくすべて「遺伝子の利己性」で説明できるのです。

 また、ミームという概念の発明も本書の特色です。ミームとは簡単に言えば文化版遺伝子なのですが、本書を読んだ後では理解度が違います。

 全体を通して非常に面白い本でした。 長いことは長いのですが、時間を割いて読む価値は十分にあります。