趣味記録

自転車、本、PCなど色々

時かけおもしろいか?

 映画じゃなくて原作小説のほうです。めっちゃ期待しててハードル高すぎたからなのか全然楽しめなかった.....
 文体も古いし、やたら説明口調っぽい三人称視点がどうにも合わない。展開も全然はずれたところなく逆に予想外だった。解説に説明不要の名作とあったけど流石に言い過ぎなのではと思う。時かけがSFのパイオニアだってのはわかるけどなぁ。こういうことがあるとなんで自分だけ楽しめないのか、仲間外れみたいに感じて少し落ち込む。時かけの良さ語ってくれる人お待ちしてます。

ハリウッド版君の名は~what the hell is your name~

 引退したベテラン宇宙飛行士、タキはやりがいを見いだせず。自堕落な日々を送っていた。生活費がなくなるとヒスパニックたちに混ざって適当にライン工をして糊口をしのいでいた。
 タキはある日、NASAに呼び出され、NASA勤務の元妻、ミャミーズ=ミュッツァーと数年ぶりの再開を果たす。しかしそこで巨大隕石が地球に向かっていることを告げられる。娘を守るためにタキはかつての相棒、ツカサ=アッカーマンと一緒に隕石に向かう。
 なんやかんやありつつも隕石に核爆弾を埋めるまでは成功するが爆弾を遠隔起動するリモコンが壊れてしまい、タキが単身残り手動で爆弾を起爆することになる。
 しかしその時現れたのはパシフィックリムのあのロボットだった。中に乗っているのはミュッツァーである。なんとアメリカNERV支部から強制徴発してきたのだという。ATフィールドを展開できるミュッツァーに爆弾の起動をまかせ、二人は帰還する。ツカサは死んだ。任務の途中の衝撃でお互いの名前を忘れてしまった二人は短くも長い任務の末、地上で再開したのちこう言ったとされる。


''I don't want to close my eyes''

書いてるときは面白かったんたけどなぁ

ブックオフがSFに厳しい

 正月にブックオフで本全部20%offという弩級のセールやってたのでディレッタントな俺はどうせ読まないのに、沢山仕入れようと思って意気込んで行ってきたわけです。
 しかし血眼になっていくら探してもSFコーナーは本棚の一列の半分だけ。ブックオフは違う棚にバラけてるということもままあるので諦めずに他の棚を探してもやっぱりない。しかたないので違う店舗に行くと、今度はありました。一列分だけ。前の店舗の2倍ですね。 
 あれか?SFは名作が多すぎて誰も売らないのか?なんでミステリーと時代小説は堂々とした売り場もらえてんのにSFだけないんだよ。SFってわりとメジャーなジャンルだと思ってたけど実は全然そんなことはなかったのか?......
 結局鴨川ホルモーかってきました

プログラミング型教育とかねえから

 いや、ないから。
 お国は「プログラミング言語を覚えさせることではなく、論理的思考を身に付けさせる」(意訳)とか言ってるけどそれもうプログラミングではないから。今まで面だけよくて中身のない教育システム(笑)いくつ作ってきたか自覚してる?
 プログラミング言語覚えるのは最近の反暗記教育の風潮には合わないかも知れないけどさ、実際なんだかんだ言って役に立つから。少なくとも古文漢文よりは遥かに実用的だと思う。(古文漢文も教養としては必要だとは思う。)2038年問題のオーバーフローがーとか、ウイルスの仕組みがーとか、フレームワークがーとかやっぱ知ってて良いことあるじゃん。
 論理的思考を学ぶとかあからさまに退屈な授業になる予感しかないし、scratch とか車の制御をプログラミングでするとかでお茶を濁してもそんなんじゃプログラミングの面白さ伝わんなくないか?そもそも持論としてはプログラミングは手数が多いかわりに手順は簡単な物を機械にやらせるものだと思っていて、それを人力でやるのは本末転倒感が凄い。「今日はソートのお勉強をします。ではみなさん人力でクイックソートをやってみましょう」とか爆笑。
あと全く関係ないけど、
センター試験「問。かくかくしかじかの問題をプログラミングで解け。ただしフレームワークは自由につかってよいものとする」でみんなpip install numpy→サーバークラッシュとかなったらこれも爆笑。
たしかにプログラミング言語は流行り廃りあるけど一個覚えれば応用効くから将来マクロ組む準備のためとか理由つけてやったほうがいいと思うんだけどなぁ。

無敵の作家

 思うに、円城塔って文学的評価という点において無敵なんじゃないだろうか。
 無敵というのは、読んだ全員が楽しめるということじゃない。amazon のレビュー欄では実際つまらなかったっていう人がいるわけだし。今言ってるのは「自分に合わない」と感想を述べることはできても「ストーリーがつまらない」と批判することはできないということ。
 読んだことのある人ならわかるだろうが、円城作品はとにかく読みづらい。自分はもはや初見で理解するのはあきらめて、三周することを前提に読んでいる。しかし回を重ねると、見過ごしていた会話に隠された新たな意味や、結論を踏まえることで違って見える描写などが発見できて、段々面白くなってくる。これはそもそも文学だなんだという前に数学を下敷きにして書かれているからで、数学的な思考の帰結と経過を、修辞と比喩、婉曲表現をパラメータにして円城塔李久さんに文字起こしを頼むと、あの長ったらしいけどどこかノスタルジーと含蓄に富んだ小説が出力される。で、含蓄に富んだってのが厄介な部分で円城塔李久さんは含蓄に富みすぎて一般人では簡単に取捨選択できない次元になってくる。ただしこれは全然小説の価値を損なうものじゃなくて、むしろ言葉遊びのように色々な意味が取れること自体に面白さを見出すことができる。こんなにわざわざ婉曲にわかりにくく書かずにもっと普通に、一般的とされる書き方をするべきだ、という意見が的外れになるのはここに原因があって、この発言をした人はストーリーとか、びっくりする仕掛けとか、いわゆる「物語」を読みに来たのだろうが、そもそも円城作品は「物語」じゃなくて言葉遊び(どこかで日本語の揚げ足をとる作家、とか評されていた)を楽しむことが前提になかったのだと思う。いつか、贅沢というのは時間を浪費するから贅沢なのだ、という論評をみたけど、そういう意味で言えば円城作品はかなりの贅沢だと思う。わざわざ遠回りした表現を使うことで、何重にも意味がとれて、何回でも読みなおせるから。
 ちょっと話がずれたが、結局円城塔が文学的に無敵だと思うのは、大事なことは隠しておくのがデフォルトだから全然面白くなくても、必ずどこかに「自分が読み取れていないだけなんじゃないか」という不安が付きまとうからである。これが例えば伊坂幸太郎とかなら「ストーリーの立て方が悪い」とか「オチがつまらない」とか批判することはできる。しかしもう何回も繰り返してきたようにあの円城塔である。もし円城塔の作品を一覧にして書評するサイトがあったら、つまらないと思った作品でも「これはちょっとわからなかったですねー(笑)」とかいう感想でさらっと流して終わるんじゃないかと思う。実際このブログにもある。多分「これはつまらないですね。駄作」と一刀両断する感想は出てこないと思う。
 ただし批判されないのと評価されるのは違うことであって、小説界(SF界ではなく)から一定の支持を得ているのは純粋に小説が面白いからで、ただよくわかんない小説であるだけなら無視されて終わるだけである。つまり円城塔は批判されないしその上面白いというもうATフィールド全開!なエヴァ初号機がさらにロンギヌスだかカシウスだかの槍を持っているのに等しいわけである。
 ながながと書いてきたがこの記事の結論は一つ。  self reference engine を読もう。

横浜駅は増殖する

 ふと思い立って「小説サイト」でggってみたところかなり面白い小説を発掘してしまった(俺が知らなかっただけ)ので紹介と感想。
https://kakuyomu.jp/works/4852201425154905871
正直こんな駄文読んでるよりとりあえず読んでみた方がいいです。全然長くないので。
 舞台は今から数世紀の後、増改築を繰り返した横浜駅が自己増殖の果てに本州の99%を覆った未来。もうこのあらすじを読んだだけで面白いですね。俺は横浜駅行ったことないですが、多分ずっと工事やってて、筆者がもやもやしてるんだろうなってことは充分過ぎるほど(勝手に)感じ取れます。
 舞台設定がぶっ飛んでるので台詞もぶっ飛んでます。対岸から横浜駅が射出される。九州を横浜駅から防衛する。などなど、痺れる台詞を真顔で言ってるのがかなり得点高いです。冒頭で富士山の上にエスカレーターが出現したので夏だとか言っててもう衝撃受けました。
 そしてSFガジェットが凝ってるのもとても嬉しい。並べてくとネタバレになるので書きませんが、たまたま俺が浅く狭く持ってる知識と丸かぶりしてるのでとても楽しかった。作者のページを見ると研究職だそうで、どうりでちゃんとしてるわけだと納得しました。
 短いのにちゃんと小説一本読んだ達成感がありました。ちなみに同じ作者の作品で「HALとSHURA」もあるのですがこれもかなり面白いです。

2017年と言わず読んでよかった本

 年末だ年末だと猫も杓子も騒いでますが年明けなんて誰かが決めた偶像に過ぎないんですよ。つまり俺に彼女がいないからといって非リアではない。リア充云々は偶像だ!

1.虐殺器官
 はいこれ。もうこれ読んで?一言で言っちゃえば軍事SFなんですけど、SF食わず嫌いしてる人は多いのでは?私も前まで「SFって宇宙旅行とかするやつでしょ(笑)いい年した大人が何現実逃避してんの?」とか思ってましたけど本当は違うんですよ。SFっていうのは今より進んだ科学技術を導入することで人間とはなにか、とか計算機が進化するとどうなっていくのかとかとか深遠なテーマを掘り下げていく営みなんですよ。
 虐殺器官のメインテーマは「言葉」です。これ以上ないほど語りつくされたテーマで、「あーはいはい現代文の評論みたいなやつね」とか高を括ってると衝撃を受けます。虐殺器官のすごいところは「言葉」という身近で、何回も取り上げられてきたテーマを扱っていながらもエンターテイメントとして高いレベルで完成させているところだと僕は思います。
 著者の伊藤計劃は相当な映画狂というか創作といえるものなら大体好きで(多分)いろんな作品を吸収しつづけた人なので知識量が半端じゃありません。虐殺器官にもそれは色濃く反映されていて、いたるところに実際にあった出来事が挟み込まれているのですが、その密度が僕にとってはあり得ないほど高いのです。しかし映画をむさぼるように見る一方、ずっと癌に苦しめられており、虐殺器官を書き上げたのは病床で、しかも10日程で書き上げたといいます。自分が癌にかかっているのに「虐殺器官」なんてひどい自虐ですね。
 結局伊藤計劃虐殺器官と他二本の長編を残して夭逝しました。しかし小説界に与えた影響はすさまじく、ゼロ年代SFベスト、ベストSF2007国内篇第1位、そしてなぜかPLAYBOYミステリー大賞(国内部門)第1位 まで獲得します。他にも色々とってます。SF初心者でも全く問題ないので(自分がそうだった)とにかく読んでください。


2.ハーモニー
 うん、ごめん。また伊藤計劃なんだ。今度は「死と意識」がテーマで、落ちが衝撃的すぎて少し薄ら寒くなるんだ。この結末を自分一人で考え付いたということはないでしょうが、有史以来様々な思想家が考えてきたことを正面から粉々にしていく感じがします。ちなみに僕はこの本からSFにはまりました。


3.self reference engine
 うん、そう。わかる人にはわかったと思う。ミーハーでごめん。でも予想がついた人にはこれも名作だってことには同意してくれると思います。詳しくは前に書いた記事を読んでください。arark.hatenadiary.jp
self reference engine(SRE)はとりあえずSFであることは確かなんだけど単なるSFにとどまらない気がします。この本に限ってはストーリーの解説は無意味で、裏表紙のあらすじ読んで(恐らく意味は分からないだろうけど)面白そうだなと思ったら買ってください。
 著者は円城塔で、SREが処女作でほかにも色々発表してますが、これが一番読みやすいんじゃないかと思います。本を重ねるごとに円城塔の一般人離れが進んでいる気がしてならない。


4.恋文の技術
 上がSFだったので今度は一般小説から。著者は森見登美彦で、他には「四畳半神話体系」とか「夜は短し歩けよ乙女」とかがあります。もちろん左の二冊もいいんだけど、恋文の技術も面白いです。とにかくなんも考えずにげらげら笑えます。理屈をこじらせた大学生の長ったらしく、それでいて笑える文章がこれでもかというぐらい楽しめます。書簡体でこれだけ面白く物事を描写できるっていうのが自分には信じられなかったです。これもまた落ちが秀逸。


5.オーデュボンの祈り
 言わずと知れた伊坂幸太郎作品。伊坂作品は結構読みましたけどこれが一番面白かったですかね。処女作ではありますが、伊坂幸太郎の特徴である洒落がきいた文体がちゃんと楽しめます。正直読んだの昔過ぎてうろ覚えなところが多いのですが、最後に伏線を綺麗に回収していって見事に終わらせていた記憶があります。ちょっと画家のおじさんのところに違和感を感じないでもなかったですが。まだ小説自体を読んで間もなかった僕は、あぁ小説ってこうやって終わらせるんだ、と感動してました。


こんなもんですかね。もっとマイナーな、知る人ぞ知る作家とか出せたらかっこいいんですけど読書不足なため叶わず・・・。虐殺器官の分量がほかと比べて圧倒的に多いですが、正直言って僕に「読書」というものを明確に意識させてくれたのが虐殺器官なのでどうしても熱が入ってしまうんですよね。この記事は今年の総決算と見せかけて、虐殺器官のために書いたといっても過言ではない、というかぴったりなのでもうそれさえ読んでくれればいい。